蹂躪じうりん)” の例文
然し、その境に踏み込んだ以上は、せめてそこを一度は充分に蹂躪じうりんして見たいものだと、義雄は憤慨するのだ。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
昔し欧洲に在て震天動地の偉功を奏せし宗教改革諸英雄の如き人傑あらしめば吾人は如何に頼母敷たのもしからずや、しかして顧みて実際を見るに、政治の世界は壮士を使用する者に蹂躪じうりんせられんとし
ここに於てか、征馬鉄蹄せいばてつていに世界を蹂躪じうりんし、大名たいめい長く青史せいしを照せる一世の雄傑アレキサンドルも、つひに一語の発すべきなく、静かにひざまづいて彼のあかづける手をり、慇懃いんぎんに其無礼を謝したりと云ふ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
先に拿翁の蹂躪じうりんに遭ひ、今後更に慮るところあり。昔日暴風雨をしのぎ、疾雷閃電の猛威を以て、中原を席捲せきけんし去りたる夢は今何処いづこにかある。平和の君、平和の君、切に此邦このくにを憐れまれん事を願ふ。
想断々(2) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
いや、恐らく其は不可能のことゝ謂はなければならぬ。と謂つて周三は、人權を蹂躪じうりんして、お房を日蔭者ひかげものにして圍ツて置くだけのゆう氣も無かツた。これがまたあたらしい煩悶となツて、彼を惱ませる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
たゞでさへうして独逸ドイツに復讐してやらうかと考へ続けに考へて来た彼等が、いよ/\となると、かへつその独逸の為に領土の一部分を蹂躪じうりんされるばかりか、政庁さへ遠い所へ移さなければならなくなつたのは
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)