赤合羽あかがっぱ)” の例文
賭博に負けると裸体はだかで歩いたもので、只今はおやかましいから裸体どころか股引もる事が出来ませんけれども、其の頃は素裸体すっぱだかで、赤合羽あかがっぱなどを着て
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と見るとしゃちに似て、彼が城の天守に金銀をよろった諸侯なるに対して、これは赤合羽あかがっぱまとった下郎が、蒼黒あおぐろい魚身を、血に底光りしつつ、ずしずしと揺られていた。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひさしの雨だれに打たれながら、頬冠ほおかむりをした男が、その上から又赤合羽あかがっぱを被って、ぼんやり立っていた。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一、佐藤一斎さとういっさいにかありけん、聖人は赤合羽あかがっぱの如し、胸に一つのしまりだにあれば全体はただふわふわとしながらついに体を離れずと申せしとか。元禄調のしまり具合は先づこんなものなるべし。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
裸体はだか赤合羽あかがっぱを着た、大きな坊主だ。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)