ぶた)” の例文
李汾りふんは山水が好きで四明山しめいざんにいた。山の下に張という大百姓の家があって、たくさんのぶたなどを飼ってあった。永和の末であった。
(新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私はまだ此書に就て専門家の教を仰がないから、或は遼東のぶたに類するかも知れないが、順序として一応各巻の梗概を記すこととする。
春水と三馬 (新字新仮名) / 桑木厳翼(著)
だからワーオーバーは「ぶたの青葉」だと思っている人も多いらしいが、果して蒲公英を豕に喰わせるかどうかは確かでない。
ぶたが幾匹いてもその間に個人性はない。また人は個人主義と共同主義と相反対するようにいうが、余はこの両者は一致するものであると考える。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
亥は日本ではイノシシであるが、支那でも朝鮮でも猪の字はぶたの事で、イノシシは山猪と書かねば通用しない。すなわち朝鮮では今年はブタの年である。
米と肉と野菜とで養う肉体はこの尊ぶべき心霊を欠く時一疋のぶたに過ぎない、野を行く牛の兄弟である。
霊的本能主義 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
邵はひどく驚いて入って来て、一緒に燭をけて見た。室の中には彼の馬と二ひきぶたが死んでいた。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
子供といへばぶたの仔でも好きな彼女であつたので、散歩の途中犬屋の店で犬の子が目につくと、何をおいても側へ寄つて、本当に可愛ゆくて為方しかたがないやうに見てゐるのだし
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
人間の腹より生まれ出でたるものは、犬にもあらずまたぶたにもあらず、取りも直さず人間なり。いやしくも人間と名の附く動物なれば、犬豕けんし等の畜類とはおのずから区別なかるべからず。
家庭習慣の教えを論ず (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そこで冬になる前に、種々の防寒法を工夫して、ぶたの子を取り寄せて飼養しなどした。そのうち冬が来て、江戸で父の病むのを聞いても、帰省することが出来ぬので、抽斎は酒を飲んでもんった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
飼ってあるぶたは肥えませぬ。
虎に殺された者のしかばねを一族の墓地に埋めぬとある、また正月ごとに林地の住民ぶた一疋に村の判をした寄進牒きしんふだを添えて林中に置くと、虎が来てふたつながら取り去る
たとえばぶたとなりて満足するよりはソクラテースとなって不満足なることは誰も望む所である。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
そうして気の強い主婦からはがみがみ言われ、お島からはぶたか何ぞのように忌嫌いみきらわれた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ぶたを飼ってあるおりけて笑って言った。
劉海石 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ぶたに倍した所行だ。
いつも真先に駈けて敵を崩さずという事なし、本名は高橋弾之助英国といいけるが、素肌にて働く故人皆裸とはいうなり、余り肥えふくれし故ぶたという獣に似たりとて豕之助と名付けしを
ぶた奴。
油脂牛酪バター等を身に塗り、邪気を避け病毒を防ぎ、また神力を添え心身を清浄にする事で、暖熱の地の民はこれを日常大緊要の務めとする者多く、ぶたの脂など塗るを地方の人が笑うと、竹篦返しっぺいがえしに