誰何すゐか)” の例文
喜太郎は狼狽うろたへながら、しはがれた声で闇の中の見知らぬ人間を誰何すゐかした。が、相手はまだ笑ひ声を収めたまゝ、ぢつとしてゐる。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
出入を一々誰何すゐかする。俺は何の気なしに車を下りて式台の石段をのぼつた。警部がつかつかやつて来て、「誰方どなたです」と問うた。流石さすがに敬語を使つた。
畜生道 (新字旧仮名) / 平出修(著)
なほこれと同じ飛行練習場が巴里パリイの近郊だけに十箇所から有ると聞いて如何いかに飛行機の研究がさかんであるかが想はれる。飛行場は一切陸軍省に属して居るから出入しゆつにふの人を騎馬の憲兵が誰何すゐかする。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)