角石かくいし)” の例文
そこでガックリとなった奴を蹴返けかやいて、縄の端を解いてそこいらに在った道標みちしるべ角石かくいしを結び付けた。
餅に似た角石かくいしを多く火に並べて焼きかつ傍らに油を入れた樽を置き酒を装うているところに例の怪物がきてその石を食いまた酒だと思って樽入りの油をたらふく飲む。
東奥異聞 (新字新仮名) / 佐々木喜善(著)
かんがえがここまで漂流して来た時に、余の右足うそくは突然すわりのわるい角石かくいしはしを踏みくなった。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ヒョッとその角石かくいしの上に乗るとその荷の重みと共に足を踏み付けるものですから、要らない所に足をすべらしてまた怪我けがをすることもある。履が破れた上にも破れてしまったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
一段登ってたたずむとき何となく愉快だ。それだから二段登る。二段目に詩が作りたくなる。黙然もくねんとして、吾影を見る。角石かくいしさえぎられて三段に切れているのは妙だ。妙だからまた登る。仰いで天を望む。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)