見合みあわ)” の例文
「普段なら、年は取っとるし、まあ見合みあわすところじゃが、ことによると、もうえんかも、知れんから、送ってやろうと思うております」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
孝「度々たび/\申上げるようですが、お嬢様がお亡くなりになり、もない事でございまするから、お見合みあわせなすっては如何いかゞ
互に測量したものを後で見合みあわせるけの話で、決して亜米利加人に助けて貰うと云うことは一寸ちょっとでもなかった。ソレけは大に誇てもい事だと思う。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
とうさんも、おかあさんも、かお見合みあわしてたまげています。太郎たろう不思議ふしぎでたまりませんでした。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
どうも分からん分からん、不思議な事もあれば有るものだと、二人は暫時しばし顔を見合みあわすばかり。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
彼もさすがに憂慮のていにて、今暫く発表を見合みあわしくれよ、今郷里の両親に御身おんみ懐胎かいたいの事を報ぜんには、両親とても直ちに結婚発表を迫らるべし、発表は容易なれども、自分の位地として
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
奥まった密室の安楽椅子あんらくいすのうえに身体をなげだすと、二人は顔を見合みあわせた。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さるほどに汽船の出発は大事を取りて、十分に天気を信ずるにあらざれば、解纜かいらん見合みあわすをもて、かえりて危険のおそれすくなしとえり。されどもこの日の空合そらあいは不幸にして見謬みあやまられたりしにあらざるなきか。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
判事とガニマールはまた顔を見合みあわせた。
双方が顔を見合みあわせて叫んだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
若「伊之さんこんなに降って来たから……大丈夫来やしないわ、帰るにしてもちっ小止こやみになるまで見合みあわしておいででないとビショ濡になっちまうわ」
十時頃になって、Kは不意に仕切りのふすまを開けて私と顔を見合みあわせました。彼は敷居の上に立ったまま、私に何を考えていると聞きました。私はもとより何も考えていなかったのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それを考えると、三人はゾッとして顔を見合みあわせた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
励まされて花里は顔をあげましたが、胸につかえて居ることがあるんで浮々うき/\は出来ません、両人ふたりとも無言で、ジッと顔見合みあわしておりますと、廊下にバタ/\と草履の音がいたした。
茶色のはげた中折帽の下から、ひげだらけな野武士が名残なご惜気おしげに首を出した。そのとき、那美さんと野武士は思わず顔を見合みあわせた。鉄車てっしゃはごとりごとりと運転する。野武士の顔はすぐ消えた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人々は驚きのあまり顔を見合みあわせるばかりだった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)