西遊記さいゆうき)” の例文
みん代もげんの後をけて、小説戯曲類は盛んに出て居ります。小説では西遊記さいゆうき金瓶梅きんぺいばいのたぐいは、どなたもよく御承知でございます。
西遊記さいゆうきに似て、しかも其の誇誕こたんは少しくゆずり、水滸伝に近くして、而もの豪快は及ばず、三国志のごとくして、而も其の殺伐はやゝすくなし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そして学校では実物を完全に離れた文字だけの理科をおそわり、家へ帰っては『三国志さんごくし』と『西遊記さいゆうき』とにっていた。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それから「西遊記さいゆうき」、「椿説弓張月ちんせつゆみはりづき」、「南総里見八犬伝なんそうさとみはっけんでん」などでやや「人情」がかった読み物への入門をした。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
僕のうちの本箱には草双紙くさぞうしがいっぱいつまっていた。僕はもの心のついたころからこれらの草双紙を愛していた。ことに「西遊記さいゆうき」を翻案した「金毘羅利生記こんぴらりしょうき」を愛していた。
追憶 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
橘南谿たちばななんけいの『西遊記さいゆうき』五に広島の町に家猪多し、形牛の小さきがごとく、肥え膨れて色黒く、毛禿げて不束ふつつかなるものなり、京などに犬のあるごとく、家々町々の軒下に多し、他国にては珍しき物なり
西遊記さいゆうき』その他の書物に九州の山童として記述してあるのは、他の府県でいう山男のことであって、その挙動なり外貌がいぼうなりは、とうてい川童の冬の間ばかり化してなる者とは思われぬのであるが
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)