蛇体じゃたい)” の例文
もくらもくらと蛇体じゃたいみたいに天さのぼっての、ふくれた、ゆららと流れた、のっそらと大浪うった、ぐるっぐるっと渦まえた、間もなくし、火の手あ、ののののと荒けなくなり
(新字新仮名) / 太宰治(著)
何、牛に乗らないだけの仙家せんかわらわ指示しめしである……もっと山高く、草深く分入わけいればだけれども、それにはこの陽気だ、蛇体じゃたいという障碍しょうげがあって、望むものの方に、苦行くぎょうが足りない。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「嘘でもない、まぎれでもない……その蛇体じゃたいというのをまざまざと見たのじゃ」
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
さうして、それはの梟娘が蛇体じゃたいに変じたのであらうと伝へられた。しかし彼女は最初からの蛇体であるのか、あるひは入水じゅすいのち龍蛇りゅうだと変じたのか、その議論は区々まちまちついに決着しなかつた。
梟娘の話 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「全体蛇体じゃたいでござるかな。」
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)