“蚕籠”の読み方と例文
読み方割合
こかご100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「おとよさん今日きょうはゆっくり休んでおいでなさい、蚕籠こかごは私がこれから洗いますから」
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
おとよは今日の長閑のどかさに蚕籠こかごを洗うべく、かつて省作を迎えた枝折戸しおりどの外に出ているのである。抑え難き憂愁を包む身の、洗う蚕籠には念も入らず、幾度も立っては田圃の遠くを眺めるのである。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
十時も過ぎたと思うに蚕籠こかごはまだいくつも洗わない。おとよは思い出したように洗い始める。格好のよい肩に何かしらぬ海老色えびいろたすきをかけ、白地の手拭てぬぐいを日よけにかぶった、あごのあたりの美しさ。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)