菊坂きくざか)” の例文
るのがうまいとしたから、ちることもよくちた。本郷ほんがう菊坂きくざか途中とちう徐々やは/\よこちたがてら生垣いけがき引掛ひつかゝつた、怪我けがなし。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私はとうとう万世橋まんせいばしを渡って、明神みょうじんの坂を上がって、本郷台ほんごうだいへ来て、それからまた菊坂きくざかを下りて、しまいに小石川こいしかわの谷へ下りたのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
廿七年二月のある日の午後に、本郷区真砂町まさごちょう卅二番地の、あぶみ坂上の、下宿屋の横を曲ったのは彼女であった。その路は馴染なじみのある土地であった。菊坂きくざかの旧居は近かった。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
初音町はつねてうといへばゆかしけれど、をうぐひすの貧乏町びんばうまちぞかし、正直しやうじき安兵衛やすべゑとてかみ此頭このかうべ宿やどたまふべき大藥罐おほやくわんひたいぎはぴかぴかとして、これを目印めじるし田町たまちより菊坂きくざかあたりへかけて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
初音町はつねてうといへばゆかしけれど、世をうぐひすの貧乏町ぞかし、正直安兵衛とて神はこのかうべに宿りたまふべき大薬罐おほやかんの額ぎはぴかぴかとして、これを目印に田町より菊坂きくざかあたりへかけて
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)