草寮こや)” の例文
歸りて之を煮んとする時、ロオザが兄なる人我等の住める草寮こやに憩ひて、我目のくべきを見窮みきはめ、我を拿破里にて往きぬ。手術は功を奏せり。
『この処に山人やまびと草寮こやあり。兵卒数人火を囲みて聖涙酒をめり。こは遊覧の客をまもりて賊を防ぐものなりとぞ』
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
母の膝下しつかにて過す精進日せじみびは、常にも増してたのしき時節なりき。四邊あたりの光景は今猶きのふのごとくなり。街の角、四辻などには金紙銀紙の星もて飾りたる常磐木ときはぎ草寮こやあり。
そのさま新に此熔巖の海に涌出せる孤島の如し。されど其草木は只だ丈低き灌木のまばらに生ぜるを見るのみ。この處に山人やまびと草寮こやあり。兵卒數人火を圍みて聖涙酒を呑めり。