綾絹あやぎぬ)” の例文
家へ帰って調べると、嚢のなかには綾絹あやぎぬが百余たんもはいっていましたので、わたくしは思わぬ金儲けをいたしました。
それから繻珍しゆちん夏帶なつおびとおめし單衣ひとえ綾絹あやぎぬ蝙蝠傘かふもりがさとを強請ねだられてはせられたが、これは彼の消極的經濟せうきよくてきけいざいに取ツて、預算よさん以外の大支出だいししゆつで、確に一だい打撃だげきであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
香橙色くねんぼいろ薔薇ばらの花、物語に傳はつた威尼知亞女ヹネチヤをんな姫御前ひめごぜよ、きさきよ、香橙色くねんぼいろ薔薇ばらの花、おまへの葉陰の綾絹あやぎぬに、虎のあぎとてゐるやうだ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
その計略成就して、数百里のあいだの老若男女ろうにゃくなんにょがみな集まった。そこで、紫やや黄の綾絹あやぎぬをもって幾重にも仏像をつつみ、拝む者があれば先ずその一重をいで見せる。