紅葉狩もみじがり)” の例文
何某なにぼうの講談は塩原多助一代記の一節で、そのあとに時代な好みの紅葉狩もみじがりと世話ににぎやかな日本一と、ここの女中達の踊が二組あった。それから饗応きょうおうがあった。
里芋の芽と不動の目 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「ときに、腹ごなしでもやるか」膳部ぜんぶをさげて茶菓を出すとまもなく、おとうさまがそう云いだされた、「すずに鼓を持ってもらって、紅葉狩もみじがりをさらおう」
やぶからし (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かれはここで河内山こうちやまや由良之助や、鈴ヶ森の長兵衛や、寺子屋の源蔵や、紅葉狩もみじがりの鬼女や、その得意の団十郎物をそれからそれへと上演して、役々ごとに評判がよかった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
茸狩や紅葉狩もみじがりなどと違って、これはきっとあなた方にはお珍しい見物みものであろう。蛍は季節が短くて、今から一週間目ぐらいがちょうどよく、それを過ぎると駄目だめになるのである。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
中座なかざ。出し物は、「勧進帳かんじんちょう」「歌行燈うたあんどん」「紅葉狩もみじがり」。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
演伎座の興行は六月かぎりで、七月にはこの一座に猿之助が加わって、新富座しんとみざで開演することになった。このときに新蔵は「鍋島猫騒動」の伊東左右太いとうそうだと、「紅葉狩もみじがり」の鬼女きじょをつとめたのである。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)