簀垂すだれ)” の例文
父は常に我々とはかけへだたった奥の二間ふたま専領せんりょうしていた。簀垂すだれのかかったその縁側に、朝貌はいつでも並べられた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
茶の間へ来て見ると、自分の膳の上に簀垂すだれが掛けて、火鉢のそばに据えてあった。柱時計はもう十二時廻っていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
下女の案内で二人の通された部屋は、縁側えんがわを前に御簾みすのような簀垂すだれを軒に懸けた古めかしい座敷であった。柱は時代で黒く光っていた。天井てんじょうにもすすの色が一面に見えた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助は此時も半鐘のおとが、じいんとみゝそこで鳴りつくして仕舞ふ迄よこになつてつてゐた。それからきた。ちやて見ると、自分のぜんうへ簀垂すだれけて、火鉢のそばに据ゑてあつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)