祝日いわいび)” の例文
最もしばしば往ったのはほど近い藤堂家である。この邸では家族の人々の誕生日、その外種々の祝日いわいびに、必ず勝久を呼ぶことになっている。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
石畳の模様に同の字の紋所染めたる暖簾のれんのかげには梳櫛すきぐしすき油など並びたり。二月十五日は中村座の祝日いわいびとかや。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかるにあめ・菓子・餅類の店売りなるものは、単なる浪費・無駄食むだぐいという以上に、右の節日の共同飲食の快楽と厳粛味げんしゅくみとを半減し、コキンテ・コバシャゲの祝日いわいびが来ても
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おりから逾越すぎこし祝日いわいびで、往来には群集が漲っていた。家内では男女がはしゃいでいた。
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
... ほか祝日いわいびに用います。あれは外のお菓子と違ってコルンスタッチ即ち玉蜀黍とうもろこしの粉が入りますから味が軽くって大層上品です」老婦人「どうして拵えますか」中川「それは私よりも妹の方がくわしゅうございますから説明させましょう」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)