祖父じじい)” の例文
でも大人おとなしくて、なんにも悪い事はあるんじゃありませんけれども、私の祖父じじいは、「口を利くから、怖くって怖くって、仕方がなかった。」
「ああしんど」 (新字新仮名) / 池田蕉園(著)
わしにかえ。彼奴は私に肖ねえで、亡くなった祖父じじいたと見える。私は彼奴を見ると、祖父を思出さずにはおられやせん」
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
言葉巧みに親父をたらし込んで、祖父じじいの代から伝わった田地田畠でんちでんぱたを初め銀行の貯金、親父の保険金なぞいうものを根こそげ捲き上げてしまったあげく
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その音がつまり、私の祖父じじいの耳に聞えたんです。それから、その女郎屋の主人は、祖父じじいところむかいに来たんです。
夜釣の怪 (新字新仮名) / 池田輝方(著)
私の祖父じじい——地方いなかの狂言師が食うにこまって、手内職にすいた出来上がりのこの網を、使つかいで持って行ったのを思い出して——もう国に帰ろうか——また涙が出る。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「然うのようでございますね。芝居なんぞでショボ/\した御家人が傘を張っているところを見ますと、会ったことはありませんが、母方ははかた祖父じじいを思い出します」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あの大尉がそうなんで、ここへやってきちゃあ、『伯父さん、何か食べさせて下さいよ!』と、こうでさ。わしがあいつの伯父なら、あいつはわしの祖父じじいだとでもいうのですかい。
あの祖父じじいに、あの摂政時代と執政内閣時代との木乃伊みいらに、あの古めかしい洒落者しゃれもの
小さい時祖父じじいから聞いた話に、あるさむらいが馬に乗ってどこかへ行く途中で、急にこの早打肩はやうちかたおかされたので、すぐ馬から飛んで下りて、たちまち小柄こづかを抜くやいなや、肩先を切って血を出したため
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これまで祖父じじい梅壽ばいじゅさんがした時から、亡父おやじの時とも、この四谷をするとは、屹度きっと怪しい事があるというので、いつでもいつでもその芝居に関係のある者は、皆おっかなびっくりでおりますので
薄どろどろ (新字新仮名) / 尾上梅幸(著)
「さあ、それは僕にも判然はっきりとは解らないが、うもう解釈するより他は無いのさ、僕の祖父じじいも𤢖に殺されたそうだが、親父もまた今度のような事になった。究竟つまり一種の因縁とでも云うのだろうよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
祖父じじいはあの本のために何もよい事は来なかったようです
で、祖父じじいは、猫をあんまり可愛かあいがっちゃ、けないけないって言っておりましたけれど、そのの猫は化けるまで居た事は御座ございません。
「ああしんど」 (新字新仮名) / 池田蕉園(著)
私の祖父じじいつり所好すきでして、よく、王子おうじの扇屋の主人や、千住せんじゅの女郎屋の主人なぞと一緒につりに行きました。
夜釣の怪 (新字新仮名) / 池田輝方(著)
祖父じじいがその時好機会を逸しなかったら、僕も今頃は子爵の御前様で納まり返っていられるのになあ」
小問題大問題 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わたしの祖父じじいはちょうど同じような事をいっていました
よっぽど古いお話なんで御座ございますよ。私の祖父じじいの子供の時分に居りました、「さん」という猫なんで御座ございます。三毛みけだったんで御座ございますって。
「ああしんど」 (新字新仮名) / 池田蕉園(著)
それから、何だろうかと思っていると、やがてその女郎屋の主人が、釣棹つりざお悉皆すっかりまとめて、祖父じじい背後うしろへやって来たそうです。それで、「もう早く帰ろう。」というんだそうです。
夜釣の怪 (新字新仮名) / 池田輝方(著)
わたしの父の話では祖父じじいがそれを書いたのだそうで
「私の祖父じじいです」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)