石卓いしづくえ)” の例文
案内あない知りたる少女に引かれて、巨勢は右手めてなる石段をのぼりて見るに、ここは「バワリア」のホオフといふ「ホテル」の前にて、屋根なき所に石卓いしづくえ椅子いすなど並べたるが
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
冷やかなる石卓いしづくえの上にて、いそがわしげに筆を走らせ、小おんなが持て来る一盞ひとつきの珈琲のむるをも顧みず、あきたる新聞の細長き板ぎれにはさみたるを、幾種いくいろとなく掛けつらねたるかたえの壁に
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)