まも)” の例文
わしは今のおことばで、決して心配はしますまい。現に朝夕飲んでおらるる、——この年紀としまで——(と打ちまもり)お幾歳いくつじゃな。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だから、教へぬに日月を語ることは、極めて聡い人の事として居た頃である。愈魂をとり戻されたのかなと、まもり乍らはら/\して居る乳母であつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
恁言懸けて伯爵夫人は、がつくりと仰向きつゝ、凄冷極り無き最後の眼に、國手をぐつとまもりて
泉鏡花作『外科室』 (旧字旧仮名) / 宮崎湖処子(著)
しかし残された刀自とじ、若人たちのうちまもる画面には、見る見る数千の地涌じゆの菩薩の姿が、浮き出てきた。それは幾人の人々が、同時に見た、白日夢はくじつむのたぐいかも知れぬ。
大将刀抜き放ちまもる我が笑顔写真ニユースに見しといふかや
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
併し、残された刀自・若人たちの、うちまもる画面には、見る見る、数千地涌すせんじゆ菩薩ぼさつの姿が、浮き出て来た。其は、幾人の人々が、同時に見た、白日夢のたぐいかも知れぬ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
愈々いよいよ魂をとり戻されたのか、とまもりながら、はらはらして居る乳母おもであった。唯、郎女いらつめまた、秋分の日の近づいて来て居ることを、心にと言うよりは、身の内に、そくそくと感じ初めて居たのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)