癇癪声かんしゃくごえ)” の例文
蘭子はいささか面くらって、だまって突っ立っていると、たちまちわがままお嬢さんの癇癪声かんしゃくごえが響きわたった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「早く早く、早くしないと出っちまいますよ」改札がたまらなくなって癇癪声かんしゃくごえをふり立てた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
揚句あげくの果に誰かが「あたまへ触っちゃいやだっていうのに。」と癇癪声かんしゃくごえを張り上げるが口喧嘩にならぬ先に窓下を通る蜜豆屋みつまめやの呼び声にまぎらされて、一人が立ってあわただしく呼止める
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「うるさいよ!」だしぬけに子供は癇癪声かんしゃくごえを張り上げて叫んだ。しかも、今もなおなにかしら待ち受けているかのように、その場を動こうともせずに、またもや恨めしげに眼を光らせた。