申分まをしぶん)” の例文
つまはおみつつて、今歳ことし二十になる。なにかとふものゝ、綺緻きりやうまづ不足ふそくのないはうで、からだ発育はついく申分まをしぶんなく、どうや四釣合つりあひほとん理想りさうちかい。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それで少し安心して、こつちから吉田を出すことも控へて置いた。併し数人すにん申分まをしぶんがかう符合して見れば、容易な事ではあるまい。跡部はどうするつもりだらうか。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そこへ持つて参つて、此度こんどの不都合で御座います、それさへ大目に見てくれやうと云ふので御座いますから、まるかたきをば恩で返してくれますやうな、申分まをしぶんの無い主人の所計はからひ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
倫敦ロンドンの博物館はいづれも立派な建築で明りの取方とりかた申分まをしぶんなく、其上そのうえ配列が善く整頓して居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
宮川氏の説によると、足立氏は高知生れだけに武士魂を持合せてゐたが、同志社で基督魂を、紐育ニユーヨークで亜米利加魂を一つづつ買ひ込んだので、紳士として申分まをしぶんのない男になつたのださうだ。
コルネエユに扮したパウル・ムネは申分まをしぶんの無い出来である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
目薬瓶に涙二杯! 男にとつて申分まをしぶんのない値段である。
仏蘭西フランス現代の劇壇でまつた申分まをしぶんの無い役割であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)