生殺与奪せいさつよだつ)” の例文
おそらく弟直義ただよし師直もろなおかを使者として、なにか申し入れて来るだろう。道誉のおもわくはそのときにあったのだ。翻弄ほんろうも自由、生殺与奪せいさつよだつもわが手にある。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、その華族家と家属及び平民との関係はほとんど国王と人民との関係のようなもので、その平民を生殺与奪せいさつよだつするところの権利はもちろんその華族に在るんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ただ玄徳の妻子は、下邳城かひじょうの奥にいるが、そこも昨夜わが軍の手に陥ちてしまったから、二夫人以下の生殺与奪せいさつよだつは、まったく曹丞相のお手にあるものといわねばならぬ
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう駄目だ! あきらめて後ろへ手を廻してしまえ。いわずとものことだが、吾々は、蜂須賀阿波守にさし向けられてまいった者、生殺与奪せいさつよだつの権があるぞ、ジタバタすればなぶり殺し——」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このあいだの義詮の生殺与奪せいさつよだつは一に彼の手の中にあったといってよい。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)