甘草かんぞう)” の例文
甘草かんぞうに、肉桂粉にっけいふん薄荷はっかといったようなものを二寸四方位の板に練り固めて、縦横十文字に切り型を入れて金粉や銀粉がタタキ付けてある。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
久し振りで庵を訪ねた主人の前へ、一色道庵の示した丸薬の成分というのは、人参にんじん松樹甘皮まつのあまかわ胡麻ごま薏苡仁よくいにん甘草かんぞうの五味だけ。
またもの調味ちょうみには、あの甘草かんぞうという薬草やくそう粉末こなすこくわえましたが、ただそれは上流うえ人達ひとたち調理ちょうりかぎられ、一ぱん使用しようするものではなかったように記憶きおくしてります。
孔叢子こうそうし』にこの獣甘草かんぞうを食えば必ず蛩々きょうきょうとて青色馬あおうまに似た獣と駏驉きょきょとてのごとき獣とにのこす、二獣、人来るを見れば必ず蹶を負うて走る、これは蹶を愛するでなくて甘草欲しさだ
「このスープは甘草かんぞう汁みたいだね」と彼はにこにこしながら言った。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
穗「アマクサではない、甘草かんぞう
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
本田蓼白と伊東参龍の見分けた成分は、松の甘皮と胡麻ごま甘草かんぞうで。一色道庵はその上人参にんじん薏苡仁よくいにんを見つけたそうですが、もう二味あるはずだと言います。
その中でも隣りのへやとの仕切りの垂れ幕には、特別に大きい、黄金色きんいろのさそりだの、燃え立つような甘草かんぞうの花だの、真青な人喰い鳥だのがノサバリまわっていた。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
昼夜観音経を念ずると斑虎ふこに導かれ故郷へ還り得たと載す、智者大師の『観世音義疏かんぜおんぎそ』に晋の恵達、凶年に甘草かんぞう掘るとて餓えた羌人きょうじん群に捕われ、かの輩肥えた人からまず食うので達と一小児と残さる
人参にんじん甘草かんぞう薏苡仁よくいにん、それに胡麻ごまと松の甘皮あまかわ、——そこまでは誰でも解るが、残りの二味がむつかしい