玄妙げんみょう)” の例文
玄妙げんみょうきわまる槍と、精妙無比せいみょうむひな太刀はここにたがいの呼吸をはかり、たがいに、のすきをねらい合って一瞬一瞬、にじりよった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
照道寿真はそれを発端として玄妙げんみょうな仙道の秘訣を教えはじめた。河野はその教えを心に刻みつけた。午後四時ごろになって寿真の話は終った。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
不思議に思ってのっそり歩みよりながら、よくよく見ながめると、無理ない。まことに天地自然玄妙げんみょう摩珂まか不思議、畜生ながら奴等もまた生き物であって見れば甚だ無理がないのです。
およそ出没自在をきわめること、これほど玄妙げんみょうなやつは前後に比を見ないといわれている。いわゆる無技巧の技巧、なんら策をろうさないために、かえって一つの手がかりすら残さなかった。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
行者達の呼ばい声が玄妙げんみょうな鈴の音と共に聞えて来た。右手奥の方から……
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
なおその後、十兵衛三厳は、忠明の剣の玄妙げんみょうに深く感じ、父の門人村田与三よぞうともなって、もちの木坂の彼の道場を訪れ
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かえって敵の致命とさせてしまうところに、この武器の玄妙げんみょうなところがあるなどともいった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「丞相の如きこそ、真の孫子そんし玄妙げんみょうを体得した人というのだろう」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拙者せっしゃも、めずらしいやり玄妙げんみょうをみました」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)