物可恐ものおそろ)” の例文
物可恐ものおそろしげなる沢の名なるよ。げに思へば、人も死ぬべき処の名なり。我も既に死なんとせしがと、さすがうつつの身にもむ時、宮にはあらで山百合やまゆりの花なりし怪異を又おもひて、彼は肩頭かたさき寒くふるひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)