片門前かたもんぜん)” の例文
「提灯屋なら亥之吉いのきちだろうが、亥之公なら片門前かたもんぜんから神明金杉、ずっと飛びましては土器町かわらけちょう、ほい、こいつあいよいよ勘弁ならねえ。」
五幕目芝片門前かたもんぜん魚屋の場はお蔦の兄惣五郎がお蔦の死を歎き、気晴しにとて禁酒を破りて飲みし酒に酒乱となり、磯部の邸に暴れに行くといふ処
其の翌晩また芝神明前しんめいまえから出火致しまして、芝片門前かたもんぜん本芝ほんしば残らず焼払って、お浜で鎮火致し、たった二日の間に江戸大半を焼き尽しましたが、これは開けぬ昔のお話で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
漸々だんだん自分の行末いくすえまでが気にかかり、こうして東京に出て来たものの、何日いつ我がのぞみ成就じょうじゅして国へ芽出度めでたく帰れるかなどと、つまらなく悲観に陥って、月をあおぎながら、片門前かたもんぜんとおりを通って
死神 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
「やはり同区内で、芝の片門前かたもんぜんにいるとかいうことでした。」
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そうだ。片門前かたもんぜんに巣を食っていた奴だ」
半七捕物帳:52 妖狐伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)