無面目むめんぼく)” の例文
「あさましきもの」が引受けてくれました、暑いのに、破屏風やぶれびょうぶにすくんで、かびた蒲団に縮まったありさまは、人間に、そのまま草が生えそうです。無面目むめんぼくで廊下へ顔も出せません。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこへ押し掛けて金の無心をいうのはあまり無面目むめんぼくの仕方だとは思いながらも、まさか泥坊もできない以上は、このくらいのことは我慢するよりほかはないと、彼は思い切って橋を渡った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)