ひし)” の例文
そして、時々合間を隔てて、ヒュウと風のきしる音が虚空ですると、鎧扉がわびしげに揺れて、雪片が一つ二つ棧の上でひしげて行く。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
だが、被害は、ほんどころではない。彼と武蔵の住む家さえ、跡形もなくひしがれて、手のつけようもない有様。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あわれや馬も人もその下になった者は悲鳴すら揚げ得ずに圧しひしがれてしまう。そしてたちまち、その口は、累々るいるいたる大石に大石を重ねて封鎖されてしまった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)