演戯しばい)” の例文
「一度この薬師様が繁昌して、四方から参詣人が集まって来て、このあたりに薬師町が出来て、演戯しばい小屋なども出来たことがありました」
不動像の行方 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
新公が悶死したことにいていろいろの噂が伝わった。それによると、米が海産問屋の公子と立待岬から投身したのは、新公がくんだ演戯しばいであった。
妖蛸 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこは瀟洒しょうしゃ演戯しばいの舞台に見るような造作ぞうさくで、すこし開けた障子しょうじの前に一人の女が立っていた。それは三十前後の銀杏返いちょうがえしのような髪にった女であった。
馬の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
蔦芳は夜の明けるのを待ちかねて、菊五郎のもとへ駆けつけた。菊五郎はそこで小平の衣裳を浅黄木綿石持こくもちの着附にして、其の演戯しばいに出たので好評をはくした。
幽霊の衣裳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「見ろ、あのざまを、もう、すぐ演戯しばいが始まるぞ」
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
主翁ていしゅ演戯しばいでも見るような気になっていた。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「それから演戯しばいだ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)