もり)” の例文
去歳こぞの春すがもりしたるか怪しき汚染しみは滝の糸を乱して画襖えぶすま李白りはくかしらそそげど、たてつけよければ身の毛たつ程の寒さを透間すきまかこちもせず、かくも安楽にして居るにさえ、うら寂しくおのずからかなしみを知るに
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
夜中俄にたゝみをとりのけ桶鉢をけはちのるゐあるかぎりをならべてもりをうくる。
けれども「つくづくと春のながめのさびしきはしのぶに伝ふ軒の玉水」という『新古今』の歌から、「春雨や蜂の巣つたふ屋根のもり」という芭薫の句に眼を移すと、そこに歌と俳句との相異を感ずる。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
夜中俄にたゝみをとりのけ桶鉢をけはちのるゐあるかぎりをならべてもりをうくる。