漏洩ろうえい)” の例文
全員は各室を駆けまわり、すこし惜しかったけれど、漏洩ろうえいのある部屋はどんどん捨てて、それより手前の密閉戸を下ろしていった。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
毛沼博士が眼を覚まして鍵をかけたとすると、その時にシュッシュッという音を発して、異様な臭気を発散しているガスの漏洩ろうえいに気がつかないであろうか。
血液型殺人事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
で罪状いよいよ定まって尊者そんじゃは死刑の宣告を受けました。それは「外国の国事探偵をその寺に住せしめてチベットの密事を漏洩ろうえいしたるが故に汝を死刑に処す」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかし、それは矢島の陋劣ろうれつなあてこすりだったのだ。そこには藤野先生も周さんもいるから、試験問題の「漏洩ろうえい」を暗に皮肉るつもりで、矢島が卑屈の小細工をしたのだ。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
すなわちその信書の表記うわがきや内容に依って、何等かの秘密が漏洩ろうえいしそうなおそれを抱いている一種の秘密団体とも見られる訳で、いずれにしても尋常一様の曲馬団とは思えない。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、それは彼女の落度おちどではなく、新発明の地上超弩級ちょうどきゅう、タンク「マアク九号」の秘密漏洩ろうえいを防ぐ英国の警戒は、じつに厳重をきわめていて、マタ・アリにも歯が立たなかったのだ。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
天機漏洩ろうえいの恐れあり。あなかしこ。明治二十九年三月十七日。病子規。虚子兄几下。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
貴女及び貴女の家にとって、最も安全な得策で万一、不注意、反抗等から秘密の漏洩ろうえいや命令不履行の際は必然降るべき復讐の手が如何に惨虐苛酷であるかは覚悟してもらわねばならぬ。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
そういえば、ここで問題としていた高真空と象限電位計による極微電流の測定との間には、その技術のこつに、たがいに一脈通ずるものがあった。両方ともに、おそるべきものは漏洩ろうえいである。
実験室の記憶 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
言いかえれば低級でかつ無意味な飲食の交際や、活溌な、言い換れば青年的勇気の漏洩ろうえいに過ぎぬ運動遊戯の交際に外れることを除けば、何人なんぴとにも非難さるべきところのない立派なものであった。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
漏洩ろうえいしたる時は、二年以下の懲役または三万ペセタ以下の罰金に処す
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
その兄というのは、動坂の頼みにより高屋市長から鍵を奪ったんだそうだが、それを感謝もせず、秘密漏洩ろうえいの方を恐れて殺したという。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
第百二十二回 商隊長の秘密漏洩ろうえい
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
この機密が漏洩ろうえいすることを極端におそれるのです。さっきも念を推しておいたが、このことは誰に対しても厳秘げんぴ
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこで秘密漏洩ろうえいを恐れ已むなく彼を殺すと、江戸昌は二十九日に直接に田代金兵衛を捕虜にしたのだ。
獏鸚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「機長。空気の漏洩ろうえい箇所は尾部左下です。いま調べてなおします」
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)