清艶せいえん)” の例文
京にのぼる供は二十人くらい、虫の垂衣たれぎぬおおうた馬上の女のすがたは、遠目にも朝涼あさすずの中で清艶せいえんを極めたものであった。
この菜の花の平野に囲まれた清艶せいえんな小都市に、復一は滞在たいざいして、いろいろ専門学上の参考になる実地の経験を得たが、特に彼の心に響いたものは
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
落ちようとする月が一段明るくなった光の中を、清艶せいえんな容姿で、物思いをしながら出て行く源氏を見ては、とらおおかみも泣かずにはいられないであろう。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御宴席に出た人々の様子も態度も非常によく洗練されて見えた。院もますます清艶せいえんな姿におなりあそばされた。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あだかも鶴の翼のやうに左右へ長く開いたのである……人々はこの清艶せいえんな有様に唾をんだ。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
片輪の身のあはれさが添つて、以前の美しさに一層清艶せいえんな陰影が添つた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)