深山榛みやまはんのき)” の例文
登り詰めると頭の上にのし懸った崖の下を横に搦んで、馬の脊に似た岩の腹に突き当る。深山榛みやまはんのきや根曲り竹が一面に叢生して、どう蹈み込んだものか勝手が知れない。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
眺望がないので足の進みもおのずと早い。傾斜が次第に緩くなって、雪が絶えると深山榛みやまはんのき七竈ななかまど、白樺などの生えた草地に、紅花イチゴ、日光黄菅にっこうきすげなどが咲いていた。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
つのぐむ草の芽立ちがほの紅く匂ったりして、登山者の目を楽しませ、近くの岳樺だけかんば深山榛みやまはんのきひくい林の中では、鶯、駒鳥、大瑠璃おおるり其他の小鳥が囀り交わして、快い響を漂わしている。
山の魅力 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
雪が尽きると谷はにわかに蹙まり、竪樋のように急峻となったので、左側の尾根に移り、丈の高い偃松に交って岳樺だけかんば七竈ななかまど深山榛みやまはんのきなどが灌木状に密生している中を押し分け掻き分け攀じ上った。
北岳と朝日岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
やがて偃松が終って岳樺や深山榛みやまはんのきなどの林の中を暫く下ると小屋に達する。