法輪寺ほうりんじ)” の例文
昔は金峯山きんぷせん蔵王ざおうをはじめ、熊野くまの権現ごんげん住吉すみよし明神みょうじんなども道明阿闍梨どうみょうあざりの読経を聴きに法輪寺ほうりんじの庭へ集まったそうである。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
法輪寺ほうりんじの門前から経筒きょうづつが出たとか。中には天狗てんぐの爪が出たの、人魚の骨が出たのというのもあった。
丹那山の怪 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
それから約三十分後には、僕は何かかがやかしい目つきをしながら、村を北のほうに抜け出し、平群へぐりの山のふもと、法輪寺ほうりんじ法起寺ほっきじのある森のほうへぶらぶらと歩き出していた。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
中宮寺を出てから法輪寺ほうりんじへまわった。途中ののどかな農村の様子や、蓴菜じゅんさいの花の咲いた池や、小山の多いやさしい景色など、非常によかった。法輪寺の古塔、眼の大きい仏像なども美しかった。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)