法律ほうりつ)” の例文
法律ほうりつてらしても明白あきらかだ、何人なにびといえども裁判さいばんもなくして無暗むやみひと自由じゆううばうことが出来できるものか! 不埒ふらちだ! 圧制あっせいだ!
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
法律ほうりつはこのおさない子どもを学校にかよわせることを義務ぎむづけてはいるが、そのために子どもを守る制度はないのだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
法律ほうりつをあなどらないようにしろ。まあどういうしだいの事件じけんだか、話してごらん。おまえに五シルリングやる。ろうの中で金を持っていればよけい気楽だ」
たとえば親が六十になるとてなければならぬという、法律ほうりつがあったということはこちらでは言わない。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
身は一定の国籍のもとにありて、法律ほうりつの保護を受け、もって生命財産の安固あんこを保ちながら、その国の不為ふためはかるごときは、決して国民たる個人の独立行為どくりつこういといわれぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「その五百は、もうおらのもんではござりません。二百は番兵ばんぺいにくれてやりました。あとの三百は、ユダヤ人が両替りょうがえしてくれましただ。法律ほうりつのうえからいや、おらのものは一文いちもんもねえでござります。」
「じゃあ孤児院こじいんへやってしまうだけだ。こちらでやしないたくないものを、なんでも養えという法律ほうりつはないのだ」
その治安維持法という法律ほうりつ違反いはんした行動のために、牢獄ろうごくにつながれ、まもなく出てきてからも復職ふくしょくはおろか、正当せいとうなあつかいもうけていないということだけが、その法律とつないで考えられた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
法律ほうりつにも警察けいさつ規律きりつにもそむかないかぎりかえって警察から保護ほごを受けなければならないはずだと考えた。
「そう、悲しいことだ」とかれはおろおろ声でつづけた。「けれど人は法律ほうりつに向かってはなにもしえない。弁護士べんごしの言うところでは、むかしはどうしてこんなことではすまなかった。 ...
「それは法律ほうりつの命ずるところだ。きさまは知っているはずだ」