水草みくさ)” の例文
家はよりも荒れまさりけり。なほ奥の方に進みゆく。前栽せんざい広く造りなしたり。池は水あせて水草みくさも皆枯れ、一九三やぶ一九四かたぶきたる中に、大きなる松の吹き倒れたるぞ物すざまし。
地下じげの召し人の歌よみが、おれの三十になったばかりの頃、「昔見しふるき堤は、年深み……年深み、池のなぎさに、水草みくさ生ひにけり」とよんだ位だが、其後が、これ此様に、四流にもわかれて栄えている。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
たまさかにきたり眺めし山の池早や美くしう水草みくさ生ひにけり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
入海いりうみの浅瀬の水草みくさ日にねむる手樽てだるの駅をわが過ぎにける
東北の家 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
急流になか/\に水草みくさかな
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)