“歳晩”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さいばん71.4%
くれ14.3%
としのくれ14.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と云ったきり湯河は下を向いて何かしら考え始めた、———二人はもう新橋を渡って歳晩さいばんの銀座通りを歩いていたのである。
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
壁の紙張は歳晩くれま近に張りかえたものと見え、どの部分もまだ真新しく、この他には汚点など一つも見当らない。指の跡に眼を寄せて見ると、指の置き方でそれが左手の痕だということが判る。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それから、昭和元年ごろ、歳晩としのくれにも一度見て通ったことがある。その時には市区改正の最中で道路が掘りかえされ、震災後のバラックだてであるし、ほとんど元のおもかげがなくなっていた。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)