樗牛ちょぎゅう)” の例文
だが、その短かい間の人気は後の紅葉よりも樗牛ちょぎゅうよりも独歩どっぽよりも漱石そうせきよりも、あるいは今の倉田くらたよりも武者むしゃよりも花々しかった。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
紅葉こうよう露伴ろはん樗牛ちょぎゅう逍遥しょうようの諸家初めより一家の見識気品を持して文壇にのぞみたり。紅葉門下の作者に至りても今名をなす人々皆然り。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「あなたは、樗牛ちょぎゅうを愛読することから来たロマンチスト、僕があなたのロマンチストになるか、君が新自然主義になるか。」
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
一代の驕児きょうじ高山樗牛ちょぎゅうが、一葉丈には頭を下げたのも無理はありませんよ。僕は明治時代第一の文豪として一葉を推しますね。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
すでに自然主義運動の先蹤せんしょうとして一部の間に認められているごとく、樗牛ちょぎゅうの個人主義がすなわちその第一声であった。
君は医学を専門にして居たが、文芸を好み高山たかやま樗牛ちょぎゅうの崇拝者で、兄弟打連れて駿州すんしゅう竜華寺りゅうげじに樗牛の墓を弔うたりした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
日本に於ても、二葉亭や啄木の方が、漱石や樗牛ちょぎゅうのものよりも現代人により多くの感銘を与えんとする傾向がある。
第四階級の文学 (新字新仮名) / 中野秀人(著)
彼等は皆樗牛ちょぎゅうのように「文は人なり」と称している。が、いずれも内心では「人は文なり」と思っているらしい。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
樗牛ちょぎゅうのごとくこの像の円満特殊な相好が天平時代の特性を現わしていると言い切るのは考えものであるが、この像を天平から全然切り離してしまうのも同様に考えものである。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
かつて高山樗牛ちょぎゅう菅公論かんこうろんを著わして、道真が彼を登用して藤原氏の専横せんおうを抑えようとし給うた宇多上皇うだじょうこう優渥ゆうあくな寄託にそむいたのを批難し、菅公の如きは意気地いくじなしの泣きみそ詩人で
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
三保みほの松原とか、久能山くのうさんだとか……あれ何ていうの樗牛ちょぎゅうという人のお墓のあるところ……龍華寺りゅうげじ? 方々見せてもらって、静岡に滞在していたの。そして土地のも呼んで、浮月に流連いつづけしていたの。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして高山樗牛ちょぎゅうからの小田原出身の文士をかぞえ、ぼくの事に及んで
吾人ごじんすべからく現代を超越せざるべからず……か。仁丹じんたんの広告見たいだね。樗牛ちょぎゅうという人は自家広告が上手だった丈けに景色の好いところへ持って来たよ。何だか物欲しそうで一向超越していない」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
新聞紙の伝うる所に依れば、先ず博文館の太陽が中天に君臨して、樗牛ちょぎゅうが海内文学の柄をって居る。文士のつねことに、樗牛は我に問題を与うるものだと云って、嘖々乎さくさくことして称してまないらしい。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
樗牛ちょぎゅう
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
紅露は相対塁あいたいるいして互にを称し、鴎外おうがい千朶せんだ山房に群賢を集めて獅子吼ししくし、逍遥は門下の才俊を率いて早稲田に威武を張り、樗牛ちょぎゅうは新たにって旗幟きしを振い
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
中学時代から樗牛ちょぎゅうにかぶれて美的生活を論じたり、近松物や西鶴物をひねくり廻して恋愛を讃美したり、早くも失恋の悲しみだとか厭世哲学などを云々すると云ふ風だつたから、辰野の眼から見たら
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)