“棋(き)” の例文
棋(き)を囲んだり、逗留(とうりゅう)客を泊めたりするのに建てたのだと云って「爛柯亭(らんかてい)」と名づけていたその一と棟は、八畳に六畳の次の間があって
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
僕(ぼく)は僕(ぼく)で名人决(けつ)定戰(せん)の觀戰記(くわんせんき)を書き棋(き)力に相當加ふるものありとうぬ惚(ぼ)れて、共に張(は)り切つてゐるのだからたまらない。
孔生は公子兄妹と酒を酌み棋(き)をたたかわして一家の人のようにして楽しんだ。
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
とにかくあんまり強(つよ)くもなく、かと言つてまた格別(かくべつ)恥(はづ)かしいほど弱(よわ)い譯(わけ)でもなく、棋(き)風も先づ正正堂堂(どうどう)として至極(しごく)落(お)ち着き拂(はら)つた方、正に兄たり難(かた)く弟たり難(かた)しの組(くみ)合せだ。
陶は帰って旅装束を解くと、人をやとうて亭園(ていえん)をしつらえさした。そして毎日馬と棋(き)をやったり酒を飲んだりして、他に一人の友達もつくらなかった。馬は陶に結婚させようとしたが承知しなかった。
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
とにかく舊式(きうしき)の名人制(せい)打破(は)は甚(はなは)だいい。ただ問題(もんだい)は棋界(きかい)に功勞(こうろう)があり、而も棋(き)力衰(おとろ)へた老棋士(ろうきし)の老(ろう)後の生活(くわつ)に對(たい)して同時に何等かの考慮(こうりよ)が拂(はら)はるべきである事を僕(ぼく)は切言したい。