柔媚じうび)” の例文
伊勢音頭おんどの作りかへもさせられた。俺は外ヘ出る必要もなくなつた。柔媚じうびを四畳半に求むることも出来なくなつた。俺は一時間の黙想をすら許されないのである。
畜生道 (新字旧仮名) / 平出修(著)
〔譯〕匿情とくじやう愼密しんみつる。柔媚じうび恭順きようじゆんに似る。剛愎がうふく自信じしんに似る。故に君子はなる者をにくむ。
梅花は予に伊勢物語いせものがたりの歌より春信はるのぶに至る柔媚じうびの情を想起せしむることなきにあらず。然れども梅花を見るごとに、まづ予の心をとらふるものは支那に生じたる文人趣味ぶんじんしゆみなり。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「無性さや」に起り、「かき起されし」とたゆたつた「調べ」にも柔媚じうびに近いものうさを表はしてゐる。所詮蕪村の十二句もこの芭蕉の二句の前には如何いかんとも出来ぬと評する外はない。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)