くだ)” の例文
旧字:
ただ著者が諸家の詩歌文章を説明するくだりを、そうですかそうですかと聞いているようなものでありました。しかしこれは少し困る。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ少し身勝手だと思われる点は、例えば人種に本質的の優劣があるという例に、アメリカにおける黒人と白人との能率の比較をしているくだりなどがあるからである。
清々しさの研究の話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「その手段として、すだれへだてて縁結びをし、配合くみあわせは月下氷人に任せるというくだりが御座いますが」
アーヴィングという人の「悲恋」(Brokenブロークン Heartハート)というくだりだった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
部屋に男の上衣が吊るされていて怪しいと思いつくくだりなども映画的だ。
しかしその論法は大体において(い)の場合、すなわち吾人は知の働きを愛して、これに一種の情を付与すと云うくだりに説明したものと変りはありません。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「波斯人も矢張り処刑に磔を用いたようで御座います。但し生きているうちに張付けに致したものか、死んでから釘を打ったものか、其の辺はちと分りかねます」というくだりは
すなわのテレマカスがペネロピーの十二人の侍女を絞殺するというくだりでございます。希臘語ギリシャごで本文を朗読してもよろしゅうございますが、ちとてらうような気味にもなりますからやめに致します。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)