杜撰づさん)” の例文
それゆえ新潮社の翻訳は定評があるとか、杜撰づさんなものであるとか、そんな評判はよく聞く処であるが、私は少しもそれに耳をかさない。
翻訳製造株式会社 (新字旧仮名) / 戸川秋骨(著)
次に清の嘉慶中に孫伯衍そんはくえん及鳳卿の輯校する所の「神農本草経」がある。是は唐氏証類本草に溯つてゐる。しかし編次剪裁せんさい杜撰づさんを免れない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
すると、これも素人の杜撰づさんな頭で、結果は見事失敗に終つた。まつたく、勿体ない話さ。国家の財宝は、この通り無能な野心家の手で、非合理的に消費されてゐるんだ
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
其書の荒證に比すべき物は是我の杜撰づさんにあらざれば閲者見ゆるし給え。
他計甚麽(竹島)雑誌 (旧字旧仮名) / 松浦武四郎(著)
そは杜撰づさん彼篇の如きは己れの未だ嘗て見ざるところぞとの事なりき。