杜撰ずざん)” の例文
杜撰ずざんな案内記ででもあればそういう失敗はなおさらの事である。しかし、こういう意味で完全な案内記を求めるのは元来無理な事でなければならない。
案内者 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その点でいつでも彼女を少しおそれなければならなかった彼には、杜撰ずざんにそこへ触れる勇気がなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
このはなはだ杜撰ずざんな空想的色彩の濃厚な漫筆が読者の中の元気で自由で有為な若い自然研究者になんらかの新題目を示唆することができれば大幸である。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
いろいろな「間違い」や「杜撰ずざん」でさえも、最後の結果の桁数オーダーには影響しないというところにある。
杜撰ずざんな考証に対してもし識者の教えを受ける縁ともならば大幸である。
日本楽器の名称 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)