杜少陵としょうりょう)” の例文
花宝玉、——この美人がこの名を発音するのは宛然たる鳩の啼き声である。私は巻煙草をとってやりながら、「布穀催春種ふこくしゅんしゅをうながす」と云う杜少陵としょうりょうの詩を思い出した。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この縁側の附いている八畳の間には、黒塗の太い床縁とこべりのある床の間があって、黒ずんだ文人画の山水が掛っている。向こうに締め切ってあるふすまには、杜少陵としょうりょうの詩が骨々しい大字で書いてある。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)