未亡人みぼうじん)” の例文
その足で彼女は隣家の伏見屋まで頼みに行って、父の気に入りそうな紙の類を分けてもらうことにした。伏見屋には未亡人みぼうじんのおとみがある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あらしでもないのに、どかーんとやられて未亡人みぼうじんなんて、ごめんだ。そいって、今のうちに船乗りやめてもらおかしら。二人で百姓ひゃくしょうでもなんでもしてみせる。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
隣村からわざわざ嫂やめいや私の娘を見にやって来てくれた人もあったが、私と同年ですでに幾人かの孫のあるという未亡人みぼうじんが、その日の客の中での年少者であった。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
天璋院てんしょういんといえば、当時すでに未亡人みぼうじんであるが、その人を先の将軍の御台所みだいどころとして徳川家に送った薩摩さつまの島津氏などもつとに公武合体の意見をいだいていて、幕府有司の中にも
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
伏見屋未亡人みぼうじんのお富から、下隣の新宅(青山所有の分家)を借りて住むお雪婆さんまでがその写真を見に来て、森夫はもうすっかり東京日本橋本町辺のおたなものになりすましていることの
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)