月見草つきみそう)” の例文
けれどもまもなくお日さまがあすこをお通りになって、山へおはいりになりますと、あすこは月見草つきみそうの花びらのようになります。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
畑では麦が日に/\照って、周囲あたりくらい緑にきそう。春蝉はるぜみく。剖葦よしきりが鳴く。かわずが鳴く。青い風が吹く。夕方は月見草つきみそうが庭一ぱいに咲いてかおる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そこには、いままではいらなかった月見草つきみそうが、かわいらしいはなひらいていました。そして、これもいままでなかった、あねあお着物きもののえりに、宝石ほうせきほしひかりられてかがやいていました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、一夏ひとなつ縁日えんにちで、月見草つきみそうを買って来て、はぎそばへ植えた事がある。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吾墓の色にす可き鼠色ねずみいろ、外套に欲しい冬の杉の色、十四五の少年を思わす落葉松の若緑わかみどり、春雨を十分に吸うたむらさきがかった土の黒、乙女のほおにおう桜色、枇杷バナナの暖かい黄、檸檬れもん月見草つきみそうの冷たい黄
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)