こゝ)” の例文
〔譯〕雲煙うんえんむことを得ざるにあつまる。風雨ふううは已むことを得ざるにる。雷霆らいていは已むことを得ざるにふるふ。こゝに以て至誠しせい作用さようる可し。
しかれども秋は鎌倉に限るにあらず、人間到るところに詩界の秋あり。欺き易き希望を駕御がぎよするの道は、こゝにこそあれ。
秋窓雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
五と六と相合さうがふして、七百二十氣を一紀となす、凡べて三十歳なり、千四百四十氣、凡べて六十歳なり、而して不及ふきふ太過たいくわこゝに皆あらはる、と云つて居る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
こゝに於て、凡ての声、情及び心の響なる凡ての声の一致を見る、高きも低きも、濁れるもめるも。然り、此の一致あり、この一致を観て後に多くの不一致を観ず、之れ詩人なり。
万物の声と詩人 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
〔譯〕おのれうしなへばこゝに人をうしなふ。人を喪へば斯にものを喪ふ。