数珠梯子じゅずばしご)” の例文
土蔵の中の四角な暗天地に、鍵繩かぎなわをかけたり数珠梯子じゅずばしごをわたしたりして、あやしき活躍をいとなんでおりました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螺旋状らせんじょう梯子口はしごぐちから二そうへかけ上がり、それより上は階段かいだんがはずされてあるので、鈎縄かぎなわ、あるいは数珠梯子じゅずばしごなどを投げかけ、われ一ばんりとよじのぼっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこにたしか、数珠梯子じゅずばしごが垂れている筈です。——数珠梯子が」——と、そういわれて、お綱の目にフイと止まったのは、柱のかげに隠れて、上から垂れていた一本のなわ
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かの、駿河台するがだいの墨屋敷——鏡の裏の穴蔵部屋で、お綱や、お千絵や、その乳母うばたちが、密見みっけんに火をかけて、唯一つの力と思ってすがった数珠梯子じゅずばしごが、プツンと切れた——その時刻である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)