持駒もちごま)” の例文
時々持駒もちごまくして、次の勝負の来るまで双方とも知らずにいたりした。それを母が灰の中から見付みつけ出して、火箸ひばしはさみ上げるという滑稽こっけいもあった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
勝家としては、もうここでの戦備は充分としていたが、他方面にある手持の持駒もちごまたる味方の機動力が、全面的に動員されて来るには、機なお熟せず、とていたからであった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだよ、は泣かせるね。……こんなことなら、いっそはなッから頼りにするんじゃなかった。……当にしていたばっかりに、あっしの方はてんで持駒もちごまなし。……あっしのほうはどうしてくれるんです」
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
信雄に有形無形の名門的遺産があり、それをぜひ必要とするも、われから近づくのではなく、彼をして、すがらせ、頼ませ、のうえにおいて、自己の持駒もちごまの一つとしてしまう。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手の持駒もちごまはいつかつかえる局面きょくめんに会う。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)