才取さいとり)” の例文
その助太刀は左官の才取さいとりでございますが、年配のお方にお話の筋を承わりましたのを、そのまゝ綴りました長物語ながものがたりでございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでこの話はおじゃんになったのですが、しかし小鳥屋の才取さいとりをするこの仙人は、わたしに鳥を売りつけようというかんがえは思いきらなかったものと見えます。
オカアサン (新字新仮名) / 佐藤春夫(著)
せば猾智かつち狡才かうさい賄賂を取るにあらねば其の周旋人をおだてる公事師くじしとならずば小股をすくふ才取さいとり
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
七十石に足らない糊扶持のりぶちのうちから、わずかずつをいて、付近の茗荷畑みょうがばたけを買って家作を建てたり、藩士の内職の才取さいとりをしたり、小金を貸したりして、営々と理財につとめ、とにかく
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おお、誰やらぢやつたね、高利貸アイス才取さいとりとか、手代てだいとかしてをると言うたのは」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
勝麟かつりんは、勤王と倒幕の才取さいとりのために生きている」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こうして二週間ばかり経っているうちに、例の小鳥屋の才取さいとりをする仙人がまたわたしのところへ訪ねて来ました。今度は青い白鳥の雛を買わないかというのでした。
オカアサン (新字新仮名) / 佐藤春夫(著)
この家にいる甲比丹かぴたんの三次は、すなわちその荷抜屋ぬきや才取さいとりなのだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)