)” の例文
「この低い柵の開きを開けると、眠っていても直ぐ起きて来ますからそいつへ干菓子ひがしをくれてやるんです。喜んでいて来ます」
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
赤や紫の硝子ガラスをきれいに入れた硝子があった。ベルセネフは起って往ってその一枚を開けた。暗いところから涼しい風が入って来た。
警察署長 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
吾輩に向い合って腰掛けていたのは頬骨の高いハイカラ紳士、物をもいわず猿臂えんびを伸ばして、吾輩が外を眺めている車窓の日除けを閉ざす。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
引きには朱総しゅぶさが飾られてあって、駕籠の動揺に従って、ほのおのようにユラユラと揺れる。駕籠を取り巻いている男女の姿も、かなり異様なものであった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「実を云うと、貴方はその手で、死体の入っている重い鋼鉄を閉めたのでしたからね」とキッパリ云い放った。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
窻掛の絹寒冷紗きぬかんれいしや、硝子そとの短か日、短か日の斜の陽ざし。窻掛の絹寒冷紗、其蔭の水仙と菊、鉢台の薄玻璃の壺。今朝咲きし一重水仙、いつの日か挿しし寒菊。
氣が付いて見ると、突き當りにもう一つくゞがあつて、女は其處から外へ飛出したらしいのです。
見たかぎりでは、六坪ほどの、変哲もない真四角な地下室だが、西側の壁に隠しのようなものがあって、そこを突けば、自然に裏庭へ抜けられるようになっているところが怪しい。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
開きを音高く開けて、走り入って来たのは、大坂以来、一松斎につききりの一の弟子、師範代を勤める、門倉平馬かどくらへいまという、髪黒く眼大きく、面長おもながな、やや顎の張った、青白い青年だった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「すぐ開き一つの内に、祖母としよりが居ますが、耳が遠い。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
次の御着更おきかえ部屋の化粧が、がたっと、鳴った。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
垣根にはしおりがあった。道夫はそれを押して入った。庭には石南しゃくなげのような花の咲いた木があった。彼は庭の敷石をつたって縁側へ往った。
馬の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
成る程「貼菓子」らしい品物を並べた大きな硝子ガラス戸棚があって、その戸棚の向うには、奥座敷へ続くらしい障子が少しばかり明け放してあるんですが、その隙間から
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
窻掛の絹寒冷紗、硝子の外の短か日、短か日の斜めのざし。窻掛の絹寒冷紗、その蔭の水仙と菊、鉢台の薄玻璃の壺。今朝咲きし一重水仙、いつの日か挿しし寒菊。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
青年は東野南次を押し戻すように部屋の中へ入って、ピタリと後ろを閉めました。